2013年12月5日木曜日

病院見学&グリニッジ観光

 みなさん、はじめまして!派遣学生の櫻井です。私は免疫学の研究室でT細胞受容体の研究をしています。どうぞよろしくお願いします!

 ロンドンは秋も深まり日没は16時前、最低気温は12℃になる日もあります。日が落ちるのは早いですが夜の街はクリスマスの装飾で美しく、いたるところでクリスマスマーケットが開かれています。

コベントガーデンのクリスマスツリー
 

 さて私たち派遣学生5人は111819日の二日間、インペリアルカレッジ付属のチャリングクロス・ホスピタルに病院見学に行ってきました。インペリアルの医学部は日本と同じく6年制で、第356学年で病院実習が行われます。インペリアルカレッジは多くの附属病院を持っており、オックスフォード大学など他大学の学生も受け入れて実習が行われています。

 今回の見学では医学部3年生の学生2人にシャドーイングするかたちで病棟を回りました。案内してくれた学生は一人は内分泌科、もう一人は呼吸器科で実習している学生で、私を含む医科歯科生3人は内分泌、2人は呼吸器科を見学しました。内分泌科病棟では回診の様子を見学しました。聞いたことのない医学用語やその略称がたくさん出てきて、ところどころ3年生の学生に説明してもらいながら、ついていくのに必死でした。回診見学のほかに症例検討会や3年生向けの心電図の読み方の授業、血液検査の解釈についてのチュートリアル、学生による症例プレゼンのセッションにも参加しました。

 授業中は学生から活発に質問が出て、テンポよく進んでいくのがとても心地よく感じました。少人数のチュートリアルでは先生による一方向的な講義ではなく、参加する学生みなが積極的に知識を共有しているのが印象的でした。今まで学んだこと用いて論理を組み立て、理解しながら臨床の知識を身につけていてとても刺激的でした。病棟見学だけでなく授業など様々なセッションに参加することができ、とても有意義な2日間でした。
 
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 話は変わりますが、11月の週末には派遣学生5人でグリニッジへ行ってきました!グリニッジはユネスコ世界遺産に登録されており、グリニッジ子午線が通る場所としてご存知の方も多いのではないでしょうか。

 私たちはロンドン中心地からボートでテムズ川を下りグリニッジへ行きました。グリニッジは歴史ある港町で、旧王立天文台、旧王立海軍学校、帆船カティ・サーク号など興味深い建造物が多くあります。
 
5人でグリニッジ子午線をまたいでいます!
後ろに見えるのは地球を模したオブジェです。


 今回は旧王立天文台(Old Royal Observatory)に保管されている、ある時計についてお話しします。

 ジョン・ハリソンという人物をご存じでしょうか。

 時は約300年前にさかのぼります。当時イギリスは貿易により国を繁栄させようと考えていました。日本と同じ島国であるイギリスにとって、外国と貿易をするためには船を使わなければなりません。そのためには航海中に船の位置を正確に知る必要がありました。出発地の時間を正確に示す時計があって、太陽の位置から現在地の時間が分かれば、その時間差から経度にして何度分移動したかが分かります。そこで、当時イギリスでは航海用の時計の開発が急がれました。

 しかし航海用の時計を作るのは決して簡単ではありませんでした。というのは、船の上では振り子も使えなければ、気温の変化などで金属が伸縮し時計がずれていってしまうのです。最初の航海用の時計を製作したのが彼、ジョン・ハリソンです。その製作段階でバイメタルという、現代でも広く使われる技術も開発しています。

 ジョン・ハリソンはもともと家具職人で、時計製作に関わる知識は独学で学びました。彼は30代から約40年間にわたり航海用時計の開発に情熱を注ぎ、改良に改良を重ね、その間合計5つの時計を生みだします。しかし彼の功績は長い間議会の委員会から認められませんでした。彼が80歳の頃、5つめの作品により功績がついに認められます。長い間自分を信じ情熱を絶やすことなく挑戦し続けた彼の努力に、そしてその時計が250年以上経った今も変わらず動いていることに感動しました。
 ジョン・ハリソンの人生を、情熱を持って説明して下さった旧王立天文台の方にも感謝です。

 みなさんもロンドンへ行かれる際は是非グリニッジへ、そして旧王立天文台へ足を運んでみてください。今でも静かに時を刻んでいる時計を見て、ジョン・ハリソンの人生に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
 
ジョン・ハリソンが作った4つめの時計(H4)
 
櫻井

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