2014年5月20日火曜日

時系列で振り返るプロセメ留学


研究室の選び方

これから留学する後輩たちを対象に、今回の留学で思ったことを書きまとめようと思います。

まずは研究室の選び方について。留学に行くことが決まるまで、そんなこと考えてる場合ではないと思いますが、これはインペリアルに限らずどこでも言えることなのでさらっと読んでみて下さい。

僕が留学に行く前に先輩に言われたのは、「自分が興味あるところに行くべし」でした。そして、プロセメが終わった今、それは最も大切なことだと改めて思いました。興味あるから結果が出たら嬉しい、意味分からない論文達を読破しようと思うモチベーションも、なかなか結果がでない時に頑張ろうという気持ちもわいてくる。

あとは、メールのレスポンスが速くて面倒見よさそうなとこ(臨床系より基礎系の方が良い?

 

しかし、実際に留学して、こんなことも知っていればと思うことがあったので、それについて触れようと思います。

まずは、手技の大切さ。これは留学生活のQOLに直結してくる。

Western Blot、PCR、FACSといった基本的な手技の経験は今後も論文を読むときに多いに役立つでしょう。Western Blotはかなりの苦行らしいですけどね笑。

細胞の動きをみる、光らせるといった現象を実際に見る手技は、上手くいくと最高にかっこいいけど、なかなかうまくいかない。それに比べてFACSは、何が起きてるかは見えないけど、ビシッと数値化してくれるので、統計処理ができて曖昧な差でも有意差があるか数学的に考えることができます。
 
なんて面もあったり。あと、個人的に細胞培養は地味かな笑
 
とにかくどういう手技を使うのかは、行く前に聞いておきましょう!!!

 
あとは、スーパーバイザーが過去に書いた論文を読んでみてみる。それはスーパーバイザーが長年携わってきた、熱い研究なのか?世界中で色々なデータが出ている分野なのか、それともエビデンスがまだ乏しい分野での研究なのか?分かると思います。

 

あと先行研究!あたりまえだけど、ラボでやってくれたのか一応確認すべし?

あんま時間ないから、先行研究無しはリスク高いよね。

 

結構ずうずうしいけど、PhDにもなったらこういうことは全部当たり前に聞くそうです。

 

ジャーナルクラブがあるか、何人くらいのラボか、Working Hourとかも聞いておいたらいいかも。
 

あと留学に行く前に

レビューをもらっとくべし。

 レビューとはその分野における第一人者がNature Reviewsとかから出版した、教科書みたいなものです。今分かっていること、将来の展望が書いてあるし、豊富な引用文献からさらに自分の気になることを掘り下げることができる良いきっかけです。
どうせWrite upの直前にするはめになる作業ですが、最初からやっておけばもっと良い実験ができたと思います。

留学中に

最初の12週間はプランを立てるのに使うべし!

帰国までに結果がそろうように、スーパーバイザーに自分の持ち時間を明確に理解してもらって、終わりの見えるプランを説明してもらいましょう(どうせ紆余曲折になると思うけどね笑)

 
ポスドクの人と仲良くなれ。

スーパーバイザーは、あんま実験しません。プランを立てるのが主な仕事で実際ラボで手を動かしているのはPhDを筆頭にした学生達ではないでしょうか。彼らとは友達になれる可能性が大です。そして、身近な先輩として彼らの人生経験をシェアしてくれます。研究室の会話も楽しくなると思うので、シャイにならずに仲良くしてみましょう。

実験の空き時間は、論文を読んだりして過ごすのが、現地の研究者らしい姿です。 

17時以降はやることをやっていたら遊んで大丈夫です笑


僕は留学半ば、なかなかデータが揃わなくて焦ってる時期がありました。そういう時、焦ってデータをたくさん出そうとしたのですが、頑張って出したデータは結局意味がありませんでした。僕にとっての正解は、実験を見直し、方向を修正するというものでした。

実験が上手くいかない時はスーパーバイザーにももちろん相談しますが、誰も答えの分からない世界を追求しているわけで、まして欧米の研究室は「It's up to you」です。もし上手くいかないことがあったら、色々な人に相談してみて、自分もたまには実験の手を休め論文を読み直してみたりすることをお勧めします♪


ライトアップ

留学も残すところ2週間って時期にさしかかると、Write-Upというイベントが発生します。自分の研究を、まるでジャーナルに投稿するかのように本格的な形式でまとめることを要求されます。これは日本に帰国してからも続く作業です。最後の最後で実験を頭から振り返り、自分の実験がどういう意味を持っていたのかからフィギアの配置をどのようにすれば第三者に伝わりやすいかまで、色々と深く考えるきっかけになりました。留学中で一番勉強になった時間だと思います。
 
日本ではこの作業はあまり重きを置かれていないようですが、「自分を表現する」機会を多くもたせる欧米風の教育は、日本と大きく異なる点だと思います。


プレゼン

ラボミーティングでさせてもらえるのが一般的です。自分からも、時期が近付いたらお願いしてみてはどうでしょう。アドバイスもらえます。
 
 
 
乱暴な箇条書きですが、すこしでも参考になったらと思います。
 
 
堀江

 

2014年2月23日日曜日

Back to...

こんばんは、石井です。
前回の更新から2か月、某さんが記事書いてるとか、某くんがネタを集めているとか、いろいろ聞いたのですがぜんぜん更新されなかった…(;´д)

さてこの一か月なにがあったかといいますと、実験のまとめ、4か月間の研究成果レポートの執筆、そしてなにより

帰国しました

2/19成田着。ご報告遅くなってすみません!!!m(_ _)m

帰国に向けてあわただしく、ロンドンの友達全員とはFarewellができなかったのが本当に残念です。直前の一週間は毎晩友達に会っていましたが、一週間どころでは足りなくらいの友達がこの4か月でできていました。うれしいことです。実際、私のプロジェクトセメスターでの最大の収穫はこれだと思っています笑
これはぜひ、また彼らに会いにロンドンに行かねばなりません!( )و"


さて帰国してから何をしていたかというと、21日にポスタープレゼンテーション大会、今週末はプロジェクトセメスターの総括と来年度への説明のための学年合宿がありました。
ポスタープレゼンテーションでは、Supervisorにチェックしてもらうためにも英語でのプレゼンに挑戦したのですが、時差ぼけの頭で覚えきれるはずもなく前夜にフィギュアスケート決勝に熱狂していたのもあって準備不足が露呈しました・・・!
来週もう一度、教授陣にプレゼンする機会があるので、今度こそ満足のいくものを、と準備を進めています。

日本で研究していた友人のテーマは、より臨床寄りなものが多いのも印象的でした。インペリアルカレッジの高田教授が、ヨーロッパではより基礎的なScienceを大切にする土壌があるとお話されていたのを思い出します。



石井

2014年1月10日金曜日

Zodiac sign

明けましておめでとうございます!
新年を迎え、本派遣も折り返し地点をすぎました。残り2か月弱、再び気を引き締めて過ごしたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

 こちらの冬休みはだいたい、12月20日~1月5日です。インペリアルでも医学部は他学部より1週間早く、休み明けは試験から始まるそう(_ _;)
 私たちもその期間お休みをいただき、家族や友達と冬のヨーロッパを楽しみました。ヨーロッパ周遊に出た人がおり(詳しくはこちら!:TMDUガーナ漂流記http://blog.livedoor.jp/anahg3102udmt/)、家族とのんびりすごした人がおり、どこに行ったのかは謎ですがお土産にチョコをくれた人がおり…たぶんベルギー…

 私と五十嵐さんは日光を求め、イタリア周遊の旅に出てきました!
 やはりお日様が出て、足元が乾いているっていうのはいいものです:)それに加えて、食事がおいしい!すごくおいしい!なんでもおいしい!ヽ(゚∀゚)ノ 住んでいる人も気さくで、挨拶くらいしかイタリア語は分からなかったのですが、滞在中ずいぶんとしゃべった気がします。
 クリスマスはローマ・バチカンで、新年をベネチアの海上花火で迎えてきました。


 ヨーロッパではまだまだ馴染みがないですが、今年の干支、午年ですよね。英語でZodiac signと言うそうです。Chineseってつけるとイノシシが豚になっちゃうので難しいところ。

 ロンドンには働く馬がたくさんいます。たとえばこれ。
バッキンガム宮殿の衛兵交代式に出た騎馬隊です。この衛兵交代式、意外と警備員さんの方が白馬に乗っていたりして…
ハイドパークには馬場があるので、休日はこんな優雅なお散歩にも出くわしたり、
平日、朝6時くらいに起きると寮の前の道を騎馬警察がぱかぱか足音高く歩いています。

 馬ではないですけれど、馬っぽい生き物だと、
リージェントパークで立派な角を持つ雄鹿に会えたり
ハロッズクリスマスパレードにトナカイが来ています。鹿は圧倒される大きさでしたが、トナカイはかわいらしい大きさ。そりを引かせるならぜったい鹿です。強そう・早そう・かっこいい。トナカイに引かせるのはなんだか申し訳ない気持ちになります笑

馬っぽくないですけれど、動物だと、ハイドパークグリーンパークの中には
 リスがいます。たくさんいます。
 両手に乗るくらいの大きさで、手足がしっかりして意外と重量感があります。体がずっしりしている分、尻尾のふわふわ感が引き立ちます。茶色い尻尾の周りに、綿毛のような白いほわほわした層があるんです。加えて、走るとき体の上下動に関わらず尻尾は水平に保つので、走り姿がとても滑らかでまたかわいらしい(´∀`*)
 これは秋口の写真で、昨日ハイドーパークで見かけたリスは一所懸命地面を掘り返していました。冬ですね!
 犬も、パーク内はリードなし。でもちゃんと呼べば帰ってきます。いいですね、憧れです(´∀`*)
 うちの犬だったら一回放したら次に会うのは3か月後、立派に自立しているでしょう。頼もしい子です。

わん。ご主人と似てる。

わん。この子は大きかったです。

わん。
Remembrance Day(第一次世界大戦の終戦記念日)のパレードにて。

動物じゃないですが、生き物だと、
白鳥とか。どの水辺にもいるので慣れちゃいました。
これは本当にびっくりしたのですが、黒鳥とか! 
ペリカンとか!!
公園で日向ぼっこしてました。
ペリカンはなかなかアグレッシブで、遊歩道でくわっと口開いてました。喧嘩かな?
ちょっとくたびれたこのクジャクと
タカは、飼われていますね。


あともう動物じゃないですけど面白かったのでのせます。
マンドレイクと

かぼちゃのおじさん。これはイタリア。

なんだかよく分からなくなってきました笑

 ともかく、世界一物価の高い都市になったロンドンですが、幸い自然には恵まれています。恵まれているというより、高い優先順位を与えられ、優先的に守られていると言うべきかもしれません。
 どちらがいいと言うつもりもありませんが、景観や自然を優先する、東京とは少し違う価値観のなかで生活しています:)


石井

2013年12月23日月曜日

December

こんばんは、ご無沙汰しています、石井です。堀江君の記事のあとになってしまいましたが、12月のまとめを少し。

 中旬に、高田先生のお誘いにより、4年生のプレゼンテーション大会に参加させてもらいました。外科・麻酔科を約3か月専攻したまとめとしてグループで20分間プレゼンして、コンテンツ・デリバリーで評価されるそうです。各プレゼンのテーマの専門性の高さ、また論文をベースに作られたプレゼンであることが印象的でした。恥ずかしながら、自分の医科歯科でのプレゼンは教科書ベースに調べていたので、講義内容にプラスする部分はあまりありませんでした、聞いてくれた方ごめんなさい!(^_^;)

 講評も、なぜそのテーマを選んだのか(一般的なテーマならばプレゼンの切り口と情報量、マイナーな分野を取り上げたのならばなぜそこに注目したのか)、用意した論文は適切だったか(Critical thinkingできているか?、基本となる論文を網羅したうえで、最新・専門性の高いものを取り上げられているか)が重視されていました。自分の研究レポート用にも論文読んではいるのですが、読んでも頭に残らず、知識がたまっている実感もなくて困っていたので参考にせねば…

 この日会場だったChelsea & Westminster Hospitalについても興味深いお話を伺いました。この病院の運営費用の1/3は、Charity、寄付でまかなわれているそうです。医科歯科で例えると、24年度の支出は約540億なので、寄付は180億円くらい!もともとWestminster(国会議事堂がある、日本でいう霞が関)に建っていた病院なので、富裕層がパトロンについているのだとか。病院内に飾られている絵画も、パトロンからの貸与・寄付がほとんどだそうです。
 このCharityの精神、考えてみると路上パフォーマーへの寄付やナチュラルトラスト運動の根底にもあるようで、文化ってこうして表われるのですね。


 文化つながりでもう一つ。今月はクリスマスディナーがたっっっくさん催されます。
私の所属する研究室もクリスマスディナーがあり、せっかくだったので日本から持ってきた着物を着ていきました。ロンドンは本当に世界中から人が集まっているのですが、それでも実際に見るのは初めて!と珍しがって喜んでくれました。後輩のみなさん、着物お勧めです:)
スーパーバイザーと。
ラボメンバーも出身は様々です。母国語もなんと12種類。
   ところでシークレットサンタをご存知でしょうか。参加者の名前をくじ引きして、引き当てた人に送り主が分からないようにプレゼントを贈る、クリスマスの遊びです。研究室でもやった結果、教授に贈られたプレゼントが、研究室で使っているペーパータオルに包まれて、研究室で使っている透明テープで巻かれていました笑 そしてプレゼントはビスケットだったのですが、教授はダイエット中で甘いもの断ち中というハプニングもあり。教授や学生を含め、ラボメンバーの距離の近さを実感しました。このオープンさは居心地がいいです。

 それでは明日からお正月明けまで、冬休みの旅行に出かけてきます!すられない・ぼられないを目標に笑 寒い日が続きますが、体調にお気をつけて。

Merry Christmas & Happy New Year!

2013年12月22日日曜日

メリークリスマス

久々にブログのぞいたら。。。誰も更新してませんね!?

けど無理もないのでしょうか、今月はクリスマスシーズンでロンドンは大忙しです。

寮やら知り合いやら研究室の人たちでクリスマスディナーがあったり、いろんなイベントがあったり。対照的にこちらの学生達は続々と実家に帰り(ヨーロッパ民族大移動って感じ)、寮はすっかりlonelyです。






Hyde Park Winter Wonderland
近所の公園にクリスマス期間だけ出現する巨大遊園地!

遅くても20日金曜日に皆の実験は終わり、私は日ごろから「I Want to Eat FISH and CHIPS」とわめいていたおかげで、研究室のSupervisorに少し離れたところにあるおいしいお店に連れて行って頂きました。ごちそうさまです(^-^)


先生と実験を近くでやってる人たちで
調子にのって、JUMBO サイズを頼んだら、ほんとにジャンボで苦しかったです。けど勝手にこっちで「Japanese People Eat A Lot!」キャンペーンを張っているのでぶれるわけにもいかず、作り笑いでたいらげました(^u^;)
「It's traditional English Food, you should try it.」って言われたので頼んでしまった「Mashed Peas」(手前の緑のやつ)いらんかった。。。


冬休みは皆ぞくぞくと国外逃亡するので、ブログ更新はないかな?ということで
Merry Christmas and a Happy New Year

来年もこのブログを宜しくお願いします!


私もそろそろ荷造り始めないとやばいですw
See you next year.

堀江

2013年12月7日土曜日

祝!150周年記念?!

櫻井さんのエントリーでとうとうインペリアルに派遣された5人が揃いましたね!お待たせしました。もうローテーションとか無視しちゃいます。

彼女からも報告ありましたが、11月の病院見学、まじで良かったです。
病院自体は日本の方がハイテクでしょう。
しかし、印象的だったのはこちらの教育システムです。インペリアルの学生は2年までに医学に関する座学をほぼすべて学んでいます。(2年は大変すぎて日の光を見なかったなんて情報も)

そして3年からは、いきなり病院で問診とかしちゃうんです!
Aの症状ときたらx,y,zの鑑別診断!なんて感じで4年生である私よりはるかにpracticalな知識を得てました。少人数でPBLの授業もあったのですが、その時は、生徒が実際問診した患者についてプレゼンし、それについて先生を含め話し合うといったものでした。これまた現場に則した議論をしており、我々も少し参加させて頂きましたが楽しかったです。

小ネタですが、急性期病棟で患者の意識レベルを確認する際、美しいイギリス英語を話す女医さんが「あなたの名前はなんですか」「ここはどこか分かりますか」の次に、
「Who is on the throne?」(今の女王様は誰ですか?)と聞かれており、さすがイギリスッと興奮しました笑
案内してくれたChristina,ありがとう♪


さて本題です。タイトルに150周年記念と書きましたが何のことか分かりますか?!

 

上段左から3番目は伊藤博文。
実は、日本初の内閣総理大臣となった伊藤博文を含む長州五傑が、1863年に渡英し日英学術交流が始まってから150年がたったそうです。知らなかった~

私たち5人も今、医科歯科五傑として彼らが150年前に歩んだのと同じ道を歩いているのですね!


ではなく、今後も交流を続けていきましょうということで、昨日日本大使館で150周年を祝うシンボジウムがありました。
暇だったのが私だけだったので、ぼっちで行ってきました。。

日本大使館、大変立派でした!広くて一等地にあってかっこいい!

写真は禁止だったので、レセプションにあったこの1枚だけですm(_ _)m


 
 
 
テーマは、特に交流が深いAstronomy & Space Science で、宇宙についての最先端の研究について数人が初心者にも分かりやすくプレゼンしてくださいました。国籍を問わず大勢の方が参加してらっしゃり、予想以上に大盛況のイベントでした。
 
全部素晴らしかったのですが、特に感銘を受けたのは、トリを飾られた現在カリフォルニア大学と東京大学で教授を務めている村山斉先生のお話です。発表テーマは今宇宙で存在が騒がれている”Dark Matter” (ゲームFinal Fantasyに出てくるのではなく、ガチなやつです)。なんともいかついテーマですが、流暢な英語で、宇宙に疎い人にも分かりやすく、ダークマターをダースベーダーに比喩するなどユーモアたっぷりにお話ししてくださいました。日本人らしい几帳面なパワーポイントと、欧米人のような余裕とユーモア、そんな両者の良いところが混ざったプレゼンテーションでほんとにかっこよかったです。
 
自分用メモ「プレゼンのこつ」
①Audienceをよく理解し、彼らに分かるよう話す。(ある分野に疎い人に、専門的な話しをしても非効率的)
②スライドの活用は効果的に。文字よりイメージ。
③余裕を持つ、ユーモアを交える。
 
ふむふむ。
 
海外で活躍する日本人という憧れの像を生で見れて、レセプションでは久々のお寿司をたらふく頬張り幸せな1日でした。

日英学術交流の一貫として、インペリアルx医科歯科交換留学もずっと続いてほしいと思います。

堀江

2013年12月5日木曜日

病院見学&グリニッジ観光

 みなさん、はじめまして!派遣学生の櫻井です。私は免疫学の研究室でT細胞受容体の研究をしています。どうぞよろしくお願いします!

 ロンドンは秋も深まり日没は16時前、最低気温は12℃になる日もあります。日が落ちるのは早いですが夜の街はクリスマスの装飾で美しく、いたるところでクリスマスマーケットが開かれています。

コベントガーデンのクリスマスツリー
 

 さて私たち派遣学生5人は111819日の二日間、インペリアルカレッジ付属のチャリングクロス・ホスピタルに病院見学に行ってきました。インペリアルの医学部は日本と同じく6年制で、第356学年で病院実習が行われます。インペリアルカレッジは多くの附属病院を持っており、オックスフォード大学など他大学の学生も受け入れて実習が行われています。

 今回の見学では医学部3年生の学生2人にシャドーイングするかたちで病棟を回りました。案内してくれた学生は一人は内分泌科、もう一人は呼吸器科で実習している学生で、私を含む医科歯科生3人は内分泌、2人は呼吸器科を見学しました。内分泌科病棟では回診の様子を見学しました。聞いたことのない医学用語やその略称がたくさん出てきて、ところどころ3年生の学生に説明してもらいながら、ついていくのに必死でした。回診見学のほかに症例検討会や3年生向けの心電図の読み方の授業、血液検査の解釈についてのチュートリアル、学生による症例プレゼンのセッションにも参加しました。

 授業中は学生から活発に質問が出て、テンポよく進んでいくのがとても心地よく感じました。少人数のチュートリアルでは先生による一方向的な講義ではなく、参加する学生みなが積極的に知識を共有しているのが印象的でした。今まで学んだこと用いて論理を組み立て、理解しながら臨床の知識を身につけていてとても刺激的でした。病棟見学だけでなく授業など様々なセッションに参加することができ、とても有意義な2日間でした。
 
                       *   *   *

 話は変わりますが、11月の週末には派遣学生5人でグリニッジへ行ってきました!グリニッジはユネスコ世界遺産に登録されており、グリニッジ子午線が通る場所としてご存知の方も多いのではないでしょうか。

 私たちはロンドン中心地からボートでテムズ川を下りグリニッジへ行きました。グリニッジは歴史ある港町で、旧王立天文台、旧王立海軍学校、帆船カティ・サーク号など興味深い建造物が多くあります。
 
5人でグリニッジ子午線をまたいでいます!
後ろに見えるのは地球を模したオブジェです。


 今回は旧王立天文台(Old Royal Observatory)に保管されている、ある時計についてお話しします。

 ジョン・ハリソンという人物をご存じでしょうか。

 時は約300年前にさかのぼります。当時イギリスは貿易により国を繁栄させようと考えていました。日本と同じ島国であるイギリスにとって、外国と貿易をするためには船を使わなければなりません。そのためには航海中に船の位置を正確に知る必要がありました。出発地の時間を正確に示す時計があって、太陽の位置から現在地の時間が分かれば、その時間差から経度にして何度分移動したかが分かります。そこで、当時イギリスでは航海用の時計の開発が急がれました。

 しかし航海用の時計を作るのは決して簡単ではありませんでした。というのは、船の上では振り子も使えなければ、気温の変化などで金属が伸縮し時計がずれていってしまうのです。最初の航海用の時計を製作したのが彼、ジョン・ハリソンです。その製作段階でバイメタルという、現代でも広く使われる技術も開発しています。

 ジョン・ハリソンはもともと家具職人で、時計製作に関わる知識は独学で学びました。彼は30代から約40年間にわたり航海用時計の開発に情熱を注ぎ、改良に改良を重ね、その間合計5つの時計を生みだします。しかし彼の功績は長い間議会の委員会から認められませんでした。彼が80歳の頃、5つめの作品により功績がついに認められます。長い間自分を信じ情熱を絶やすことなく挑戦し続けた彼の努力に、そしてその時計が250年以上経った今も変わらず動いていることに感動しました。
 ジョン・ハリソンの人生を、情熱を持って説明して下さった旧王立天文台の方にも感謝です。

 みなさんもロンドンへ行かれる際は是非グリニッジへ、そして旧王立天文台へ足を運んでみてください。今でも静かに時を刻んでいる時計を見て、ジョン・ハリソンの人生に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
 
ジョン・ハリソンが作った4つめの時計(H4)
 
櫻井